066.666

暇なときにケータイを開くと必ず着信履歴を見てしまう。 あなたの電話番号。 後ろの3桁が666で、あなたは覚えやすいだろって笑った。 その番号は2ヶ月も前の履歴。 この電話で私は呼び出され、別れを告げられた。 引き止める暇も無く、あなたは私に背を向けた。 数日経ってあなたの部屋に行ったけれど、あなたの生活はもうそこには無くて。 きっと他の女の人とどこかへ行ってしまったのでしょう? 私の手の届かないところへ。 今はこの666という番号が恨めしい。 悔しいくらい私はこの番号を忘れずにいる。 簡単すぎるこの番号。 あなたと私を繋げていた。 アドレス帳からはあなたの名前と番号は消えているのに。 666が私を縛り付けているようで。 何度この番号に掛けようと思ったことでしょう。 そのたびにいつも最後の6が押せなくて。 声を聞きたいのに、あなたに繋がるのが怖いから。 なんて話し出せばいいのか分からないし、あなたに冷たい態度をとられたらどうしたらいいの? 知らない女の人が出たら? そんな気持ちが私を襲う。 その日は酷く酔っていた。 アルコールになのか、自分のかわいそうな状況になのかは分からないけれど。 家に倒れ込むように帰ってきてカバンから乱暴に携帯電話を取り出して。 あなたの番号を、何度も何度も繰り返し呟いた番号を押した。 最後の6まで押して耳に押し当てた。 ボーっとした頭にざーっと雑音が響く。 ねぇ、あなた出てくれる? もしもしってあの声で。 そしたら私、久しぶりって言うよ。 あなたはあぁって答えてくれる? ねぇ、ねぇ? プツッと小さく音がして声がした。 それは聞き覚えのあるあの声。 『お客様のお掛けになった電話番号は現在使われておりません……』 もう、繋がらないの? もう、666はあなたの許へ連れて行ってはくれないの? 私はそこであなたとの連絡手段が完全に消えてしまったことに気がついた。 そして久しぶりにあなたのことで泣きました。 あなたは新しい番号で新しい人と繋がっているのでしょう? でもいいの。 666の番号を覚えやすいだろって笑いかけるのはきっと私だけだから。 そうでしょう? ねぇ。 マニキュアみたいな感じで。
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