053.壊れた時計

覚悟を決めた俺達に甘えはいらない。
辛い過去も。
思い出と呼べるものも。
優しさも。
戻る場所も。
なにもいらない。
それが俺達の覚悟であり、戒めでもあった。
半端な気持ちは捨てなければならない。
そうすると、俺ら自身で決めたことだから。

あの日。
11年10月3日。
俺らはすべてを焼いた。
家を。
思い出を。
母への気持ちも。
そうしないと一歩が進めなくなるから。
いつでも後退できると思うのが怖いから。
不器用な俺達の覚悟を具体化したものだった。
過去を切り捨てるという弟とだした結果の。

国家錬金術師の象徴である銀時計にこれを刻んだのも意味が無いわけではない。
銀時計は俺の象徴だ。
国家錬金術師であるという。
そして罪を犯したという。
自分自身を追い込まないと倒れたときに起き上がれなくなる。
座り込んだら歩き出せなくなる。
俺は罪人だ。
罪という名の鞭で一生打たれ続ける。
歩けなくなるまで働いて。
動けなくなれば鞭を打たれる。
結局弱いんだ。
打たれなければ歩き出すことができない。
止まり続けた時間。
この銀時計が刻み続ける時刻に俺達は止まった。
いや、エドワードとアルフォンスが止まった。
そして国家錬金術師とその弟が歩き出した時刻をいまだ刻み続けている。
恨めしいほどに。
結局、心に決めておいたのに何かに頼っている俺がいる。
自分の覚悟を象徴するものを身につけていないと次の一歩を見失ってしまう。

俺は非力で。
弱い人間だ。
そんな人間が人間を作り出そうなど考えた、おろかな結果を悔やむがいい。
『罪』を胸に抱いてコレからを生きるがいい。

人生は錬金術となんら変わりない。
『人体の練成』の代償として俺の体の一部とあいつの体は持っていかれた。
『罪を犯した』ことの代償として『覚悟』が生まれた。
『覚悟』の代償として俺は国家錬金術師になり過去も甘えも消し去った。

『罪』の代償は一生続く。
後悔を胸に刻みこんでいかなければならない。
犯した過ちに目をそむけてはならない。
それは許されることではないから。

壊れた銀時計は
俺の『罪人である』という象徴なのだ。






ついに書いちゃった……。
エドさん。
中途半端ぁ。
これって小説とは言えない気がする。
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