ねむい休日

 隣にいるはずの君も、その温もりもなくて、ベッドの中で君を探した。  ゆっくり開いた目を光のさしこむ方へ向ける。  君と会うときによく着るTシャツが空に浮かんでいた。  空は青と白の二色だけで描かれた絵のようで、Tシャツは時折微風に胴の部分を預けていた。  体を起こしてベッドの近くで綺麗に畳まれているジーパンに着替えて隣の部屋に足を運ぶ。  扉を開いたら、小さなソファに座っていた君が読んでいた雑誌から目を離して笑う。 「やっと起きたの?」  続けて 「顔とか洗ってきたら?」  僕は君に促されるままに、それに従う。  リビングに戻ってくると、ソファに君の姿はない。  僕は君が座っていた場所に座ると、君が読みかけていた雑誌を手に取った。 「はい」  君の声が降ってきて、テーブルの上に2つのマグカップが置かれる。  コーヒーの香りが微風にのってやってきた。  窓は少し開いている。  僕が開いた雑誌を君は横に座って眺めだす。  君にぴたりと寄り添うように僕は腰を浮かして座りなおした。  僕の手中にある雑誌を君がめくる。  これは僕が数日前に買ったレジャー雑誌。なかなか会えない君とどこかへでかけようと思っていた。それはホントだ。  でも結局、いつもこんな感じ。君と部屋で寄り添っている。 「まだ眠いの?」  くすっと君の笑い声が僕の耳を撫でる。  暖かい風がコーヒーの香りと眠気を運んでくる。  最初のころは君が退屈ではないかと心配していた。  でも今は違う。  目を瞑ったら自然と君に体を預けた。  君と居るといつもそう。僕は君にすべてを預けられる。  今まで会ってきた他の誰よりもずっと。 「もう、重いよ」  嫌そうに聞こえない声が僕を包んで。  僕にはそんな力がないから腕で抱きしめる。 「今度はどっか行こうね」  耳元で聞こえた小さな音は僕を夢の中へと誘う。  君とならどんなことも超えていけるとか、互いに必要としてるとか、思うけど言わない。  口に出せば安っぽくなる。  お互い感じているはずだから。  隣から掛かる重みをどこかで感じながら、僕は何か柔らかいものを見つけた。 V6のアルバム"Volume 6"のなかの「ねむい休日」より
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